SQL文を最速にする11のポイント

SQL文を最速にする11のポイント

 たとえ最終的な結果が同じでも,SQL文は書き方一つでパフォーマンスがずいぶんと変わってきます。ここでは,速いSQL文を記述するためのポイ ントや注意点をいくつか紹介しておきましょう。

●WHEREの左辺で算術演算子や関数を使わない

 WHERE句の左辺に算術演算や関数を指定すると,インデックスが使われません。例えば,
SELECT NAME FROM CUSTOMERS
WHERE SAL – TAX > 1000
とすると,たとえSALフィールドにインデックスが定義されていてもテーブル全体を走査してしまいます。こうした場合は,
SELECT NAME FROM CUSTOMERS
WHERE SAL > TAX + 1000
のように記述すれば良いでしょう。

●「後方一致」検索はなるべく避ける

 インデックスが付加されているフィールドであっても,LIKE ‘%AAA’ のような「後方一致」を指定すると,インデックスを検索せずにデータ部の全表走査が行われます。したがって「後方一致」の使用はなるべく避けるようにしま しょう。どうしても必要であるなら,
・何らかの,少量まで絞り込める条件とAND条件で組み合わせる
・複数のフィールドに分割し,少しでも前方・完全一致できる範囲を広げる
といった方法を検討して下さい。

●IS NULL,IS NOT NULLを単独で使わない

 条件を表すWHERE句にIS NULL/IS NOT NULLを指定したときは,インデックスを定義したフィールドであっても,全表走査が行われます。したがって,これらの条件を指定するときは,単独で指定 するのではなく,何らかのかなり絞り込める条件を合わせて指定してください。例えば,問い合わせの結果を変更せずに「B = 10」の条件を付加できるなら
…WHERE A IS NULL
とする代わりに
…WHERE A IS NULL AND B = 10
とします。

●SELECT文で「*」を使わない

 レコード長が長いときや,フィールド数が多いときには,すべてのフィールドを表す「*」を指定するのはできるだけ避けて,使用するフィールドだけ を指定するようにします。「*」を指定すると,参照系のSQL文では,すべてのフィールドを繰り返してコピーするため,リソースを無駄に使うことになりま す。最低限度必要なフィールドだけを指定するのが基本です。

●ORはある程度絞り込んでから使う

 論理演算子ORを使用した場合,一応インデックスが使用されるものの,個々の条件が抽出する件数が少ない(数%程度)状態でないと,あまり効果が ありません。

●GROUP BY,ORDER BY,HAVINGは注意する

 GROUP BY句,ORDER BY句,HAVING句は,余分なディスク入出力が発生したりディスク領域を使うので,自分もしくはほかのプログラムのパフォーマンスに悪影響を及ぼしま す。このことを念頭において,使わずに済むならなるべく使わないようにしましょう。

●演算子の組み合わせで速度が変わる

 検索条件に,「>」「<」「=」をANDで組み合わせるときは,指定の仕方によってインデックスの使われ方が異なります。等号と不等号の組み合わ せは,等号のみインデックスが使われます。例えば,
SELECT NAME FROM CUSTOMERS
WHERE JOB = ‘MANAGER’
AND SAL > 1000
とすると,「JOB = ‘MANAGER’」にはインデックスが使われますが,「SAL > 1000」には使われません。また,不等号同士の組み合わせでは,先に指定した条件だけにインデックスが使われます。つまり
SELECT NAME FROM CUSTOMERS
WHERE TAX > 100
AND SAL > 1000
のSQL文では,RDBMSは「TAX > 100」だけにインデックスを使い「SAL > 1000」には使いません。

●テーブルの別名を利用する

 テーブルに別名をつけて,フィールド名にはその別名をつけると,SQL文の解析処理を減らすことができます。例えば,
SELECT ID, NAME FROM CUSTOMERS
WHERE SAL < 1000
よりも,
SELECT a.ID, a.NAME FROM CUSTOMERS a
WHERE SAL < 1000
のほうが高速になります。

●SQL文の表現を統一する

 本文中で述べたように,RDBMSは実行計画をキャッシュに保存しておいて再利用します。ところが,SQL文に定数を直接記述してしまう と,RDBMSは定数値だけが異なるSQL文を別のものと解釈するため,再利用されません*B。 バインド変数を使用して,できる限りSQL文を統一するようにします。また,文字の大小や記述の仕方なども統一しておかないと別のSQL文だと認識されて しまうので,気を付けてください。

●SQL文を簡潔に記述する

 SQL文はなるべく簡潔に記述するようにします。そうすることで,SQL文の処理時間を短縮することができます。


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